「おい、イシェ、あれは何だ?」ラーンが指さす方向には、壁一面に複雑な模様が刻まれた石碑があった。イシェは懐からランプを取り出し、光を当ててみた。
「何かの記号みたいだけど…よく分からないわ」
テルヘルが近づき、石碑の模様をじっと見つめた。「これは…古代ヴォルダン語だ。恐らく、この遺跡に関する何らかの情報が書かれているはずだ」
ラーンの顔色が変わった。「おいおい、ヴォルダン語か?俺には無理だ」
「大丈夫、私が読めるわ」テルヘルは自信満々に言った。「昔、ヴォルダンの側近に仕えていた貴族の家に仕えたことがある。その際に少しだけ勉強したことがあるのよ」
イシェが眉をひそめた。「本当に?」
テルヘルは小さく笑った。「嘘をつく必要はないわ。さあ、この遺跡の謎を解き明かす時が来たようだ」
石碑に刻まれた文字を一つ一つ丁寧に読み解いていくテルヘル。ラーンは impatience な様子で足踏みし、イシェは静かにテルヘルの背後を見守っていた。
「ここに書かれているのは…」テルヘルは声を少し震わせた。「この遺跡には、かつてヴォルダン王の側室が隠したという伝説の宝が眠っているらしい…」
ラーンの目が輝き始めた。「おおっ!ついに大穴が見つかるのか!」
イシェは冷静に言った。「でも、伝説の話でしょう?本当にあるかどうか分からないわ」
「信じろ、イシェ。この記号は本物だ」テルヘルは力強く言った。「そして、私はこの宝を手に入れるために、どんな犠牲も払う覚悟ができている」