「おい、イシェ、今日はいい感じの場所を見つけたぞ!」ラーンの声がビレーの朝の薄暗い路地裏にこだました。イシェは眠い目をこすりながら、「またそんな場所?」と呟いた。ラーンはいつもそうだった。遺跡探索の成功を夢見て、危険な場所へ飛び込んでいく。
「今回は違うって!あの廃墟の奥深くで見つけたんだ。古代の文字が刻まれた石碑があるらしい。もしかしたら大穴への手がかりだぞ!」ラーンの目は輝き、イシェは彼の熱意に負けそうになった。
テルヘルは冷静な声で言った。「石碑だけでは何もわからない。その前に、ヴォルダン軍が動き出している情報が入った。我々には時間がない。今回の探索は慎重に進めるべきだ。」
イシェはテルヘルの意見に同意した。ラーンの無謀さに巻き込まれては困る。だが、ラーンは聞き入れない。「よし、準備はいいか!今回は俺が先陣を切るか!」と彼は剣を手に取り、廃墟へと駆け込んだ。イシェはため息をつきながらテルヘルに「彼のことだから、また何かやらかすと思う」と言った。
廃墟の奥深く、石碑の前にたどり着いた時、ラーンは興奮を抑えられなかった。複雑な文字が刻まれた石碑は、確かに古代のものだった。だが、その瞬間、石碑の表面から光が放たれ、ラーンの体を包み込んだ。
「うわっ!?」ラーンの叫び声と共に、石碑は粉々に砕け散り、ラーンは意識を失った。イシェとテルヘルが駆け寄ると、ラーンはすでに目を閉じていた。
「ラーン!」イシェが彼の名を呼ぶと、ラーンはゆっくりと目を覚ました。「イシェ…?」彼はぼんやりとした表情で言った。「何かあったんだ…あの石碑から…」
その時、ラーンの体から奇妙な光が放たれ始めた。それはまるで、彼が修行を積んできたかのように、強靭な力を秘めているかのような光だった。イシェとテルヘルは目を丸くして、ラーンを見つめた。