「よし、今回はあの崩れた塔だな。イシェ、地図を確認してくれ」
ラーンは荒れ果てた街の広場に足を踏み入れた。太陽が容赦なく照りつける中、彼は汗ばんだ額を拭いながら言った。イシェは背中に大きな袋を背負い、地図を広げながら小さく頷いた。
「あの塔は確かに危険な噂があるけど、テルヘルが言うには、そこには貴重な遺物があるらしい」
イシェの言葉にラーンは興奮した表情を見せた。
「そうか!ついに大穴が見つかるかもしれないぞ!」
彼は剣を手に取り、意気揚々と塔へと向かった。イシェは彼に続くように歩きながらため息をついた。
「いつも大穴だ大穴だと騒いでいるけど、今まで一度も当たったことがないのよ」
ラーンの後ろ姿を見つめながら、彼女は呟いた。「でも、今回は少し違う気がする」
崩れかけた塔の入り口には、奇妙なシンボルが刻まれていた。イシェはかつて見た書物でこのシンボルを目にしたことがある。それは古代の信仰告白にまつわるものだった。
「ラーン、あのシンボル…もしかして…」
イシェが言葉を切りかけると、ラーンの声が聞こえた。
「おい、イシェ!見てくれ!何か光ってるぞ!」
塔の中は薄暗く、埃っぽかった。しかし、ラーンの指さす方向から、かすかに青い光が漏れていた。それは、古代の信仰告白にまつわる伝説の宝石だった。イシェは息をのんだ。
「まさか…」
ラーンは興奮気味に宝石に触れようとしたその時、塔の奥から不気味な音が響き渡った。