ビレーの灼熱の太陽が容赦なく照りつける中、ラーンは汗だくになりながら巨大な石扉をこじ開けようとしていた。
「おい、ラーン!もう少しで開くぞ!」イシェの声が響き渡る。ラーンの力任せの攻撃とは対照的に、彼女は周囲をくまなく確認しながら慎重に動き、小さな隙間を見つけては工具を差し込んでいく。
「よし、これで最後だ!」
ラーンの最後の力を振り絞り、扉が軋む音と共にゆっくりと開く。その奥には、埃をかぶった石畳の通路が広がっていた。
「やあ、大穴発見だ!」ラーンは興奮気味に叫んだ。イシェは眉をひそめながら、扉の隙間から差し込む光を頼りに通路の先へと視線を向けると、すぐに何かを見つけた。
「ラーン、そこには何かあるぞ」
イシェの声に導かれ、ラーンの視線も通路の先へ向かう。そこで見えたのは、朽ち果てた石棺だった。
「宝箱か何かかな?」ラーンは期待に胸を躍らせながら石棺に近づこうとしたが、イシェが彼を制止した。
「待て、ラーン。あの記号を見たことがある」彼女は石棺に刻まれた奇妙な模様を指差す。「これはヴォルダンの紋章だ」
ラーンの顔色が変わる。「ヴォルダンってことは…?」
イシェは頷いた。「ここはヴォルダンが何かを隠していた場所なのかもしれない。宝物を期待するより、危険な罠がある可能性が高い」
その時、背後から冷たい声が響き渡った。「罠と言いますか?興味深いですね」
ラーンとイシェは振り返ると、そこにテルヘルが立っていた。彼女の顔には不気味な笑みが浮かんでいた。
「この遺跡は私にとって非常に重要な場所です。あなたがたに協力してもらえば、きっと大いなる報酬を保証します。ただし、私の言うことを聞く覚悟があるかどうか…」