ビレーの朝の光が、錆びついた遺跡の門を照らした。ラーンはいつものように寝坊し、イシェに起こされた。
「まただ、ラーン。今日はテルヘルさんが待ってるってのに。」
イシェの冷たい視線にラーンは苦笑した。「わかってるよ、わかってる。準備するから、ちょっと待ってろ」
テルヘルは今日もいつものように高級な茶を飲みながら、遺跡の地図を広げていた。彼女は yesterday、ヴォルダンからの情報提供者を通して得た古い文書について話していた。
「この遺跡には、ヴォルダンの侵攻ルートを示す地図が隠されている可能性がある。もし見つけられれば、我々の復讐は一歩前進する。」
ラーンの心は高鳴った。大穴ではなく、復讐か。テルヘルと共に戦う意味を見出せた気がした。イシェの顔色は険しかった。
「危険すぎるんじゃないか？ヴォルダンが関与している遺跡なんて…」
「大丈夫、イシェ。僕たちにはラーンがいるじゃないか。」
テルヘルは自信に満ちた笑みを浮かべた。ラーンの剣が、彼女の復讐を成就させる鍵になることを信じて疑わなかった。
遺跡の入口から、薄暗く湿った空気が彼らを包み込んだ。足元には崩れかけた石畳が広がり、壁には古びた文字が刻まれていた。
「ここからは用心だ。」
イシェは小さく呟き、剣を構えた。ラーンも緊張した面持ちで、後ろから続くテルヘルの姿を見つめた。
彼らは遺跡の奥深くへと進んでいく。その道中には、ヴォルダンの兵士がかつて戦った痕跡が残されていた。壁には血痕、床には折れた武器が散らばっていた。
「この遺跡は、ヴォルダン軍の侵攻を阻んだ最後の砦だったらしい。」
イシェの言葉にラーンは背筋をぞっとさせた。静寂の中に、戦いの悲惨さがこだましているようだった。
彼らはさらに進むにつれて、遺跡の中心部へと近づくにつれ、空気が重くなっていった。まるで何かが彼らを見張っているかのような不気味な感覚がした。
そしてついに、彼らは地図に記されていた場所にたどり着いた。そこは広大な石室で、中央には巨大な祭壇が置かれていた。祭壇の上には、光り輝く水晶の球体が鎮座していた。
「これが…？」
イシェは息を呑んだ。水晶球からは、不思議なエネルギーが放たれていて、部屋全体を照らしていた。
その時、突然、後ろから声が聞こえた。
「待て、テルヘル。お前が何者なのか、そして何を探しているのか、今すぐ教えてくれ。」