「おい、イシェ、どうだ?この石碑、なんか値打ちあるんじゃねえのか?」ラーンが興奮気味に石碑の刻印を指さした。イシェは眉間に皺を寄せながら、石碑の上で埃を払った。「何だろうな… よく分からない記号ばかりだ。遺跡探索でよくある話だが、必ずしも価値があるとは限らないんだよ」
「そうか、そうだな…」ラーンの肩がガクッとした。テルヘルは冷静に状況を見極めた。「この遺跡の規模から判断すると、何か重要なものがあった可能性はある。調査を続ける価値はあるだろう」
イシェはテルヘルの言葉に頷いた。「でも、何を探しているのか、まだわからない。目的がないまま探すのは効率が悪いぞ」
「目的は… 我々が決めればいいんじゃないか?」ラーンの目が輝き始めた。「あの大穴だ!いつか必ず掘り当てるんだ!」彼の熱意が伝染し、イシェも少しだけワクワクする気持ちになった。
テルヘルは冷めた目で彼らを眺めた。「大穴の話はまた今度だ。今は現実的に考えてみよう。この遺跡から何か価値のあるものを見つけ出すためにはどうすればいいか…」彼女は地図を広げ、石碑の位置を指さした。「ここに刻まれた記号は、他の遺跡にも見られるものだ。関連性がある可能性が高い。まずは情報収集だ」
イシェはテルヘルの冷静さに安心した。「そうだな。情報を集めて、次に進むべき方向を探る必要がある。大穴に辿り着くには、一つ一つのステップを踏んでいくしかない」
ラーンも少し落ち着きを取り戻し、頷いた。「よし、情報収集だ!イシェ、お前は地図の調査担当だ!俺は…」彼は目を輝かせながら言った。「近くの村で情報を集めてくる!」
テルヘルはため息をついた。「いつも通り、計画性がないな。でも、彼の行動力と明るさは時には役に立つこともある」彼女はラーンが去っていく後ろ姿を見つめ、「大穴の価値は、彼らにはまだ計り知れないだろう…」と呟いた。