ラーンの巨大なハンマーが石壁を砕き、埃Clouds of dust rose in the air. イシェは咳払いしながら、「ここにも何もないじゃないか…」と呟いた。ラーンは肩をすくめ、陽気に笑った。「まだ諦めるな、イシェ！きっと次の部屋には大穴があるはずだ！」
テルヘルが眉間に皺を寄せながら言った。「大穴？ そんなものがあるわけがない。遺跡の記録によると、ここはかつてヴォルダンの軍が利用していた要塞跡だ。武器や防具などの軍事資料が見つかる可能性が高い」
「軍事資料…？」ラーンは少し失望した様子を見せた。イシェはテルヘルの言葉に少しだけ安心感を覚えた。「確かに、大穴よりも現実的かもしれない…」と呟いた。
三人は要塞跡を探索し続けたが、見つかるのは錆びついた武器や破損した鎧ばかりだった。ラーンの期待は日に日に薄れ、イシェの不安は増していく一方だった。テルヘルだけが目的を失わずに、淡々と遺物の記録を進めていた。
ある日、彼らは地下深くで謎の石板を発見した。石板には複雑な模様が刻まれており、テルヘルですらその意味を解読できなかった。「これは…何か重要なものかもしれない…」テルヘルは真剣な表情で言った。
ラーンは石板に手を伸ばそうとしたが、イシェが制止した。「待て！ 触る前に何か調べようよ。もしかしたら危険な罠が仕掛けられているかもしれない」
イシェは慎重に石板の模様を分析し始めた。しばらくすると、彼女は目を輝かせた。「これ…これは古代の魔法文字だ！」
テルヘルは驚いた。「魔法文字？ だとすれば、この石板には強力な魔法が込められている可能性がある！もしかしたら、ヴォルダンとの戦いに役立つ情報が…」
ラーンの心には再び希望が芽生えた。イシェは慎重に石板の文字を解読し始めた。その過程で彼女は不思議な力を感じた。まるで、石板を通して何かが彼女に語りかけているような気がした。
イシェは解読が進むにつれて、自分の頭の中に新しい知識が流れ込んでくるのを感じ始めた。古代の魔法についての知識、ヴォルダン軍の弱点、そして…ある種の力を体得する方法…。
イシェは自分が何かに選ばれているのかもしれない、と直感した。そして、この力は彼女が望む未来を切り開く鍵となるかもしれないと感じた。