「おいイシェ、あの遺跡の地図、見れたか? 」ラーンがイシェに話しかける。イシェは眉間にしわを寄せながら、古びた羊皮紙を広げていた。「まだよく分からん。ここは一体何の遺跡なんだ?」
「そんな細かいこと気にすんなよ! 今回はテルヘルさんが大金出すって言ってたろ? 大穴が見つかったら、俺たちだって豪邸に住めるぞ!」ラーンの目は輝いていた。イシェはため息をつきながら地図を畳んでしまう。「そうね、大穴…」
ビレーの酒場で、テルヘルが顔をしかめていた。「情報によると、ヴォルダン軍が近隣で動きを見せているらしい。会議で確認したんだ」彼女は剣をテーブルに叩きつけ、「遺跡探索には危険が伴う。我々は用心が必要だ」と警告する。ラーンは軽く笑い飛ばす。「そんなことより、早く遺跡に入りたいんだよ! テルヘルさん、今日は何の遺物探すつもりなの?」
イシェはテルヘルの言葉を真剣に受け止めていた。ヴォルダン軍の動きは不安材料だった。以前、ヴォルダンとエンノル連合の会議で紛争解決を議論したが、結論は出なかったという噂を耳にしたことがある。
「今回は特殊な遺物だ」テルヘルは少しだけ口を開いた。「その力を利用すれば、ヴォルダンへの復讐が一歩前進する。お前たちに危険な任務を与えることになるかもしれないが…」
ラーンは気にせず、イシェに目を向け、「おい、イシェ! さあ行こうぜ!」と立ち上がった。イシェは深いため息をつき、テルヘルを見つめた。「私たちを危険な目に遭わせるつもりですか?」
テルヘルは静かに答える。「私は自分の復讐を果たすために、あらゆる手段を使う覚悟がある」彼女の目は冷酷に輝いていた。