ラーンの大 roared laugh 響き渡った遺跡の奥深く。イシェは眉間に皺を寄せながら、彼の後ろ姿を見つめていた。「また大穴だと？ そんなわけあるかい」と呟くと、ラーンが持ち上げる石ころを指さした。「ほら、見てみろ！ この輝きは、ただの石じゃないぞ！」
イシェはため息をつき、石を手に取ると、確かにそこには不自然な光沢があった。しかし、それは単なる水晶で、ラーンの期待通りに宝石や魔法のアイテムではなかった。イシェがそう告げると、ラーンの顔色が曇り、テルヘルは冷めた視線を向けた。「時間だ。次の場所へ」
彼らは、ヴォルダンからの逃亡者であるテルヘルの指示に従い、遺跡を探索していた。目的は、ヴォルダンに奪われた大切なものを取り戻すための手がかりを探すことだった。イシェは、ラーンの無謀さに辟易する一方、テルヘルの冷酷な目的にも複雑な感情を抱いていた。
「何か見つけた？」テルヘルが鋭い視線でイシェを睨みつける。「いいえ…」イシェは答える。彼女は、テルヘルの目的には賛成できないが、ラーンを守るために彼女の側にいる必要を感じていた。
ラーンの無邪気な行動は、時には危険をもたらす。イシェは彼を守るため、テルヘルに気を配り、遺跡の奥深くへと続く迷路のような通路を慎重に進む。しかし、このチームには、もう一人いることにイシェは気が付いた。それは、自分自身だった。
彼女は、ラーンの仲間であり、テルヘルの利用対象であると同時に、このチームの中で最も冷静な判断力を持つ存在だった。そして、自分だけがこの状況を見通していることに気づき始める。
「ここだ」テルヘルが言った。「この遺跡の奥深くに、ヴォルダンに奪われたものが隠されているはずだ」イシェは、彼女の言葉に心を痛めた。彼女は、ラーンを巻き込んだくなかった。しかし、彼の笑顔は、イシェにとってかけがえのないものだった。
「準備はいいか？」テルヘルは剣を抜いた。ラーンもまた、笑顔で剣を構える。「さあ、大穴だ！」彼は叫んだ。イシェは、彼らに続くように一歩踏み出す。そして、自分自身の運命と向き合う決意をした。