ビレーの薄暗い酒場には、いつも以上に騒がしい風が吹き荒れていた。ラーンはイシェに、テーブルの上の空になった酒樽を指さして苦笑いした。「おいおい、今日は大穴が見つかる予感がするぜ!ほら、あの仲買人の男も興奮してるだろ」
イシェは眉間に皺を寄せながら、ラーンの肩を軽く叩いた。「また大穴か?そんな楽観的な話、もういい加減にしろよ。あの男の目は、ただ金儲けをしているだけだ。遺跡の危険性なんて、見向きもしないだろう」
ラーンはイシェの言葉に耳を貸さず、酒場の入り口に目を向けた。黒装束の男が、威圧感ある態度で入ってきたのだ。テルヘルだ。彼女はいつもより早く来た。
「よし、準備はいいか?」テルヘルの声が響き渡った。「今日はヴォルダンから持ち出した古い地図に基づいた遺跡だ。危険度は高いが、その分、報酬も大きいのだ」
ラーンの瞳は輝きを増した。「やったぜ!ついに大穴が見つかるかも!」
イシェはため息をつきながら、剣を腰に引っかけて立ち上がった。「まあ、いつものように、気をつけろよ。特にあいつの言うことは…」
「わかったわかった、心配するな」ラーンは笑いながらテルヘルに近づいていった。イシェは二人を見つめながら、胸の中でため息をついた。
「あの仲買人は、一体何を狙っているんだろう…」