「よし、今日はあの崩れた塔だ！」ラーンが拳を握りしめた。イシェはいつものように眉間にシワを寄せていた。「また行き当たりばったりか？あの塔は危険だって聞いたことがあるぞ」と忠告するが、ラーンの興奮には勝てない。「大丈夫だよ、イシェ！僕たちならなんとかなるさ！」
そんなラーンに、テルヘルは冷めた目で言った。「大口を叩くのはいいが、今回は慎重に行動する必要がある。あの塔にはヴォルダンが何か隠しているらしい。我々の目的は遺物ではなく情報だ。」ラーンの顔色が少し曇る。イシェはラーンの肩を軽く叩いた。「テルヘルさんの言う通りだよ。今回は特別な日だ。落ち着いて行動しよう。」
3人はビレーの入り口から塔に向かって歩き始めた。ラーンはいつも通りの調子を取り戻し、イシェとの軽快な会話で場を和ませる。テルヘルは後ろから二人の様子を見つめ、時折鋭い視線を送っていた。
塔に近づくと、崩れ落ちた石壁からは不気味な影が伸びていた。ラーンは少し緊張した顔つきで剣を握りしめ、イシェは小さな声で呪文を唱え始めた。テルヘルは静かに周囲を見回し、何かを探しているようだった。
塔の中は薄暗く、埃っぽかった。足元には崩れた石が散らばっており、一歩一歩進むのも困難だ。ラーンは先頭を切って進み、イシェが後ろからついていく。テルヘルは少し遅れて、常に周囲を警戒していた。
突然、壁の中から何かが飛び出してきて、ラーンの顔に引っ掻いた。ラーンは悲鳴を上げながら後ずさりする。イシェはすぐにラーンの前に立ちはだかり、炎の魔法で獣を撃退した。
「なんだあの獣は！？」ラーンが顔をしかめて言った。「こんな危険な場所だと分かっていたのに…」イシェは落ち着いてラーンの傷口を調べた。「大丈夫だ。浅い傷だよ。」
テルヘルは冷静に状況を判断していた。「これはヴォルダンの罠だ。我々をここで引き留めるためだ。」ラーンが怒りを露わにした。「奴ら、許さない！」イシェはラーンの肩を抱きしめ、「落ち着いて。まずは安全確保だ。」と言った。
3人は協力して獣を退治し、塔の奥深くへと進んでいった。彼らの絆は、危険な遺跡探検を通してさらに強くなっていた。