ラーンの大雑把な計画をイシェが眉間にしわを寄せながら聞いている。いつもの光景だ。
「おい、イシェ。今回は絶対に成功するぞ!あの遺跡の奥深くには、きっと何かがあるはずだ」
ラーンは興奮気味に剣を磨いていた。イシェは彼をじっと見つめた後、ため息をついた。
「また同じこと?あの遺跡は既に何度も探索したでしょう。何もないって、お前自身も分かっているはずじゃないか?」
「いや、今回は違うんだ!あの日、入り口付近で奇妙な光を見たんだ。あれはきっと何かを示すサインだよ!」
イシェはラーンの言葉を半ば呆れたように聞いていた。彼の楽観的な性格は、時にイシェを安心させることもあるが、多くの場合はイシェに面倒な思いをさせる。
その時、背後から冷たく響く声がした。
「光?そんなもの見聞きした覚えはないわ」
ラーンとイシェの後ろには、テルヘルが立っていた。彼女の鋭い視線は、まるで二人を切り裂こうとするかのように鋭利だ。
「あの遺跡は危険だ。ヴォルダンからの警告を忘れたのか?」
テルヘルは警告するように言った。 ヴォルダンとの因縁は、彼女にとって常に影のように存在している。
ラーンはテルヘルの言葉に少しだけ怯えるが、すぐにいつもの自信を取り戻す。
「大丈夫だ、テルヘル。僕らは強くなったんだぞ!それに、あの遺跡には何かがあるって確信があるんだ!」
イシェはラーンの言葉を聞いて、頭を抱えた。彼の熱意を理解する一方で、冷静な判断を下すことができない彼の愚かさを嘆いていた。
テルヘルはラーンの顔色を見ながら、少しだけ口調を和らげた。
「もし本当に何かが見つかったら、全てを私に渡せ。その代わり、君たちに報酬を与える」
ラーンはテルヘルの言葉に嬉しそうに頷いた。イシェは二人のやり取りを見て、複雑な気持ちを抱いていた。