「よし、今回はあの崩れた塔だ!」ラーンが目を輝かせ、古びた地図を広げた。イシェは眉間にしわを寄せながら地図を睨んだ。「また危険な場所かい? ラーン、あの塔は地元の人間ですら近づかないって聞いたぞ」。ラーンの無鉄砲さにいつも呆れていた。
「大丈夫だって! いい loot が見つかるかもしれないだろ?」ラーンの言葉にイシェはため息をついた。彼にはいつもラーンの楽観的な態度が理解できなかった。
そこに、テルヘルが鋭い視線で二人を見つめて言った。「今回は慎重に行動する必要がある。あの塔には危険な罠が仕掛けられているという噂だ。情報収集を怠るな」。彼女の言葉は常に冷静沈着で、その目は鋭く洞察力を秘めていた。イシェはテルヘルの存在を頼もしく思う反面、どこか不気味に感じることもあった。
遺跡の入り口では、ラーンが先陣を切って入ろうとした。「待て、ラーン!」イシェは彼の手首を掴んだ。「罠があるかもしれないぞ」。ラーンの顔から少しだけ曇りが過ぎた。テルヘルは静かに周囲を見回し、足跡や崩れた石の配置から何かを察知しているようだった。
「ここには確かに罠が仕掛けられている。だが、突破口になるものもあるようだ」テルヘルが言った。「イシェ、お前がその役割を担う」。イシェは驚いて彼女を見つめた。いつも冷静沈着なテルヘルが、イシェに何かを託すとは予想外だった。
「なぜ私?」イシェが尋ねると、テルヘルは小さく微笑んだ。「お前には人徳がある。ラーンや私では気づかない細部に気づくことができる」。イシェは照れながら頷いた。彼女は自分の冷静さを活かして、仲間のために何かできることに喜びを感じた。
こうして三人で遺跡に足を踏み入れた。ラーンの豪快な行動力、イシェの冷静な判断力、そしてテルヘルの鋭い洞察力。それぞれの強みを生かし合いながら、彼らは危険な遺跡を攻略していく。