「おい、イシェ、見てみろよこれ!」ラーンが興奮気味に何かを見せつけてきた。イシェはため息をつきながら彼の方を見た。「また変な石か?」と呟くと、ラーンの手から石を取り上げた。奇妙な模様が刻まれた、半透明の石だった。
「今回は違うぞ、イシェ!この石、なんか温かいんだ!」ラーンは熱っぽく言った。イシェは眉をひそめた。「温かい…?そんな石、初めてだ」とつぶやきながら石をじっくり観察した。確かに、石から微かに熱が伝わってくるようだった。「もしかしたら、遺跡の奥にある部屋で見つけたあの装置と関係あるんじゃないか?」イシェは可能性を探り始めた。
「そうかもな!あの装置は一体何だったんだろな…?」ラーンは目を輝かせながら言った。イシェは彼に少しだけ同情した。ラーンの好奇心は、時に危険を招くこともあった。だが、それはラーンがラーンである所以でもあった。
「よし、この石について調べるにはテルヘルに相談だ」とイシェは決めた。「あの女なら何か知っているはずだ」。テルヘルは知識と情報網を持つ人物だった。彼女との交換条件はいつも高額な報酬と引き換えだったが、必要以上の危険を冒すことはなかった。
「 Terrell, we need your expertise.」イシェはテルヘルの住処を訪ねた。テルヘルは鋭い目で石を睨みつけた。「これは…興味深い」。彼女は少し考え込んだ後、「この石は、ヴォルダンが所有する古代の技術と関連がある可能性が高い」と告げた。「情報交換だ。この石の情報を提供する代わりに、私が望む情報を教えてほしい」
イシェは一瞬ためらった。テルヘルは常に何かしらの目的を秘めているようだった。しかし、この石の謎を解くには、彼女の知識が必要不可欠だった。
「わかった。情報を提供する」イシェは小さく頷いた。そして、二人は秘密の情報交換を開始した。それぞれの目的を果たすために、彼らは互いに利用し合い、必要に応じて情報や物品を交換していく。その取引は常に緊張感に満ちていたが、それは彼らにとって避けられない現実だった。