ラーンが大きな声で笑う。「よし、今日も大穴だ!」 イシェは眉間にしわを寄せながら、彼の背後から地図を広げた。「落ち着きなさい、ラーン。あの遺跡は危険だって聞いたことがあるわ」
「大丈夫だって!俺たちにはイシェがいるじゃないか。迷子になんてしないさ」 ラーンは剣を肩に担ぎ、軽快な足取りで交差点に続く道を歩み出した。イシェはため息をつきながら地図を片手に彼を追いかけた。テルヘルは背後から静かに二人を見つめていた。「あの遺跡には何かあるんですかね?」とイシェが尋ねた。
「噂によると、ヴォルダンがかつてそこに何かを隠したと言われています」テルヘルは答えた。彼女の目は鋭く、まるでその交差点の先にある何かに視線を定めているようだった。「そして、それを手に入れるために、私はあなたたちを利用します」 ラーンの背中は、交差点の先に広がる遺跡へと続く道に消えていった。イシェは地図を握りしめながら、テルヘルの言葉を繰り返した。「利用する…」
彼女は自分が本当に「大穴」を見つけることができるのか、それとも単なる駒でしかないのか、不安な気持ちで胸が締め付けられるのを感じた。