「よし、今回はあの洞窟だ。噂によると奥深くには未開の部屋があるらしい」
ラーンが目を輝かせ、地図を広げた。イシェは眉間にしわを寄せた。
「またそんな危険な場所？ 以前あの崩落事故があったのを覚えているでしょう？」
「ああ、あれは運が悪かっただけだ。今回は大丈夫だ」
ラーンの言葉に、イシェはため息をついた。彼にはいつも計画性がなく、自分の安全よりも大穴を探すことに夢中だった。
そこにテルヘルが静かに口を開いた。「二人とも落ち着いて。今回は慎重に進もう。あの洞窟はヴォルダン軍が以前調査していたという情報がある。何か危険な仕掛けがある可能性もある」
彼女の言葉にラーンとイシェも顔を見合わせた。テルヘルはいつも冷静で、その知識と判断力は頼りになる存在だった。
洞窟の入り口に近づくと、冷たい風が吹き付けてきた。内部は薄暗く、不気味な静けさだった。ラーンの持つランプの光が壁を照らし出すと、そこに奇妙な模様が刻まれていた。
「これは...」イシェが呟くと、ラーンは興奮した様子で言った。「古代文明の遺跡だ！もしかしたら大穴が見つかるかも！」
彼らが奥へと進むにつれて、空気は重くなり、不吉な予感が漂ってきた。壁には奇妙な文字が書かれており、床には謎の紋章が刻まれていた。
そしてついに、彼らは広大な部屋に出た。中央には巨大な祭壇があり、その上には光る球体が置かれていた。
「これは...！」ラーンは言葉を失った。
その時、背後から冷酷な声が響き渡った。「ようこそ、亡命者ども」
振り返ると、そこにはヴォルダン軍の兵士たちが立っていた。
テルヘルの顔色が変わった。「彼らはいつから...？」
「計画通りだ」
影の中から一人の男が姿を現した。彼は鋭い眼差しでラーンたちを見下ろしていた。
「この遺跡は我々が探し求めていたものだ。お前たちは邪魔者だ」
ラーンの顔に怒りが浮かんだ。「逃げるな！」
彼は剣を抜いて敵に向かって突進したが、彼の攻撃は空を切った。兵士たちは動きが早く、ラーンはすぐに取り囲まれてしまった。
イシェも必死に抵抗したが、数の差で圧倒されてしまった。テルヘルは冷静さを保ち、影に隠れながら状況を見極めていた。
「逃げろ！」彼女は叫んだ。「私はお前たちを遅らせる」
そして彼女は敵陣に飛び込み、激しい戦いを繰り広げた。ラーンとイシェは彼女の言葉に従い、洞窟から脱出しようとした。
しかし、出口には兵士たちが立ちはだかった。
「もう逃げられない」イシェの声が震えた。
その時、ラーンの目に何か光るものが見えた。祭壇の上の球体がわずかに光を放っている。
彼はその光に向かって手を伸ばした。すると、球体から強烈な光が放たれ、洞窟中に広がった。
blinding light filled the cave.