「よし、今日はあの遺跡だな。噂によると、そこにはかつて王の墓があったらしいぞ」ラーンは目を輝かせ、イシェの肩を叩いた。イシェは眉間にしわを寄せた。「またそんな話か？ そんな薄っぺらな情報で遺跡に入るわけにはいかないよ。今回は慎重に調査してからにしよう」
「慎重なんて言ってるけど、結局最後は俺についてくるだろ？」ラーンはニヤリと笑った。イシェはため息をつきながら頷いた。「そうだな。でも、今回は本当に危険かもしれない。あの遺跡はヴォルダン軍が以前調査したらしいぞ。何か残っている可能性もある」
「ヴォルダンか…」「テルヘルはどう思う？」ラーンの視線がテルヘルに向かう。彼女はいつも冷静に状況を分析し、的確な指示を出す。だが、その目はどこか遠くを見つめているように感じられた。「危険は承知の上だ。しかし、リスクに見合うだけの価値がある。」テルヘルはそう告げたが、彼女の言葉にはいつもの冷酷さがなく、どこか抑えた感情が込められていた。
遺跡の入り口に近づくにつれ、不気味な静けさに包まれた。空気が重く、何かが忍び寄っているような感覚に襲われた。「ここからは俺たちが先導する」テルヘルは剣を抜き、ラーンとイシェに合図を送った。二人は互いに頷き、緊張した面持ちで遺跡へと足を踏み入れた。
遺跡の中は暗闇に包まれており、わずかに差し込む光が埃を舞わせていた。足元には崩れかけた石畳が広がり、壁には奇妙な文字が刻まれている。「ここには何かいる…」「イシェ、お前 merasakan？ 」ラーンの声は震えていた。
「ああ…何かが近づいている…」イシェもまた不安を感じていた。その時、後ろから何者かの足音が聞こえた。ラーンとイシェは振り返ると、そこにはテルヘルが立っていた。「何だ、テルヘル！？」ラーンの怒声が響き渡った。「遅くとも、お前には危険だ」テルヘルは冷たい目で言った。「この遺跡にはヴォルダン軍が仕掛けた罠がある。お前たちはそれに巻き込まれる前に逃げろ」
「罠…？一体どういうことだ？」イシェは混乱した表情を見せた。「お前を騙していたんだな…」ラーンは怒りを露わにし、剣を抜き出した。だが、テルヘルは冷静に言った。「私は真実を伝えている。この遺跡にはヴォルダン軍が仕掛けた罠がある。お前たちを犠牲にしてでも、私は目的を達成する」
「目的…？一体何なんだ？」イシェは震える声で尋ねた。「それは…お前たちに関係のない話だ」テルヘルはそう言い残し、遺跡の奥へと消えていった。ラーンとイシェは互いに顔を見合わせた。二人は裏切られたことに衝撃を受けたが、同時にテルヘルの言葉に隠された真実を感じていた。
「イシェ、何かおかしいな…」ラーンは眉間にしわを寄せた。「テルヘルには何か秘密がある…あの遺跡には何が待っているのか…」イシェもまた、不安と恐怖を感じていた。二人は互いに手を握りしめ、遺跡の奥へと進んでいった。彼らは真実を知りたい一心で、危険な道に足を踏み入れていくのだった。