ビレーの朝焼けは、錆びついた廃墟群に赤く染まった。ラーンはいつものように、寝起きのイシェを無理やり起こした。
「おい、起きろよ!今日はテルヘルが珍しい遺物探しを頼んできたんだぞ。大金になるかも!」
イシェは眠たい目をこすった。「またそんな話か… ラーン、あのテルヘルは本当に信じられるのか? 彼女の目的って一体…」
「その辺は俺には分からん。でも、高い報酬をくれるならいいだろ? 何より、俺たちには遺跡探索しか選択肢がないんだ。」
イシェはため息をついた。「そうだな…」
二人は廃墟街を抜け、テルヘルが指定した場所にたどり着いた。そこには、荒れ果てた石造りの塔があった。
「ここだ。この塔の地下には、ヴォルダンが秘匿している遺物があるらしい。」テルヘルは冷たく言った。「お前たち二人には、この塔内部を調査し、遺物のありかを探る任務だ。危険な場所かもしれないが、成功すれば大金が手に入る。その覚悟は?」
ラーンは意気揚々と剣を抜いた。「任せておけ!俺たちはどんな危険も乗り越える!」
イシェは冷静に塔の様子を分析し始めた。「塔の構造は複雑で、内部に罠が仕掛けられている可能性もある。注意深く行動する必要がある…」
三人は塔へと足を踏み入れた。薄暗い通路を進んでいくと、壁一面に複雑な模様が刻まれていた。まるで迷路のようだった。
「これは…何か意味があるのだろうか?」イシェは眉をひそめた。
ラーンの視線は、壁の模様に反射する光に釘付けになった。「おい、イシェ!見てみろ!あの光…」
ラーンの指さす方向から放たれる光が、壁の模様を乱反射させ、奇妙な幾何学図形を作り出していた。その瞬間、床が突然崩れ始め、三人は深い穴に落下した。
「うわぁぁ!」
暗闇の中、ラーンは本能的に剣を振るい、イシェは素早く周囲を警戒した。テルヘルは冷静に状況を分析し始めた。
「ここは…地下墓地らしい。遺物はこの下に存在するのかもしれない…」
その時、墓地の奥から不気味な光が差し込んだ。それは、まるで生きているかのように脈打つ光だった。三人は息を呑んで光源の方へと視線を向けると、そこには巨大な石棺があった。
石棺の上には、複雑な模様が刻まれており、その中心には、まるで心臓のように赤い宝石が埋め込まれていた。
「あの光…!」イシェは驚愕した。「あの光は…生きているかのように脈打っている…」
ラーンの瞳に狂気が宿り始めた。「これは…大穴だ!俺たちに大金が入るぞ!」
テルヘルは冷静さを保ち、石棺に近づき始めた。「この遺物…ヴォルダンが何年も探し求めていたものなのかもしれない…」
しかし、その瞬間、石棺から強烈な光が放たれ、三人は目を眩んだ。光が収まったとき、そこには何もなかった。石棺は消え去り、三人は見知らぬ場所へと転送されていた。
彼らはどこにいるのか? そして、石棺の謎とは一体何なのか?