ビレーの夕暮れ時、ラーンとイシェは汗だくになりながら廃墟の入り口に腰を下ろした。テルヘルが持ち出した地図を広げ、慎重に確認するその様子を横目に、ラーンは喉を潤すように水を gulp と飲み干した。
「今日はなかなか収穫があったな」
そう言うとラーンの視線は、イシェの手元にある小さな石の欠片に向けられた。それは、遺跡で発見された謎の遺物だった。表面には複雑な模様が刻まれており、まるで生きているかのように光を放っている。
「これは一体何だ? 」
イシェは眉間に皺を寄せながら石の欠片を眺め直した。
「聞いた話によると、この遺跡には古代文明が残した『不滅』に関する記録があるらしいぞ」
テルヘルが口を開いた。彼女の目は冷たく鋭く、石の欠片を見つめる視線には執拗さがあった。
「不滅…?」
ラーンは首を傾げた。イシェも同様に疑問の色を浮かべている。
「そう、不滅。永遠の命、永遠の力。ヴォルダンはその力を手に入れるためにこの遺跡を探しているらしい」
テルヘルはゆっくりと話し始めた。彼女の言葉には、ヴォルダンに対する強い憎しみと、その憎しみが彼女を突き動かしているという決意が感じられた。
「ヴォルダンに全てを奪われた私は、彼を必ず滅ぼす。そして、そのために必要なものは…」
テルヘルは視線を石の欠片からラーンとイシェに向けた。二人の顔色が一瞬青ざめた。
「不滅の力を手に入れることだ」