ビレーの朝はいつも霧に包まれている。ラーンが目を覚ますと、イシェがいつものように遺跡の地図を広げていた。
「今日はあの西にある洞窟へ行くんだって?」
イシェは頷きながら、「テルヘルが情報を入手したらしい。古代の武器が残されているかもしれないって」と答えた。ラーンの顔には期待と興奮の色が浮かんだ。大穴を夢見る彼にとって、古代の武器は莫大な価値を持つ。
洞窟への道は険しく、危険な獣や罠が待ち受けている。だが、ラーンの力強い剣とイシェの鋭い洞察力で、彼らは難所を乗り越えていった。ついに洞窟の奥深く、巨大な石棺を発見した。
「ここだ!」テルヘルが興奮気味に言った。「伝説の不死身の剣、ここに眠っているはずだ」
石棺を開けると、そこには光り輝く剣があった。ラーンは思わず手を伸ばそうとしたその時、イシェが彼を制止した。
「待て、ラーン。あの剣に触れると何かが起こるかもしれない」
だが、ラーンの好奇心は抑えきれなかった。彼はイシェの警告を振り切って剣を掴んだ瞬間、強烈な光が洞窟中に広がった。そして、剣を手にしたラーンの姿は、次第に変化し始めた。彼の目は赤く光り、肌は硬く冷たくなった。
「どうしたんだ、ラーン?」イシェの声に、ラーンの口から奇妙な声が漏れた。「心配するな、イシェ。俺はもう不死身だ」
ラーンの姿を見て、テルヘルは恐怖の表情を浮かべた。彼女は自分が招いた危険を悟っていた。