「おいラーン、待てよ！」イシェが急いでラーンの後を追いかけた。彼の足取りは軽快で、遺跡の入り口から深く伸びる暗闇へと消えていく。「また、無計画な行動だ。あの洞窟は危険だって聞いただろう」
ラーンは振り返り、陽気に笑った。「大丈夫だ、イシェ。俺が先頭を切って開けばいいんだろ？それに、テルヘルさんがいるだろ？彼女は何も言わないぞ」
イシェはため息をついた。「テルヘルさんは、あの洞窟の奥にあると噂される遺物に執着しているだけなんだ。私たちを危険な目に合わせようとしているんじゃないかと思うと怖いよ」
ラーンの顔色が一瞬曇ったが、すぐにいつもの明るい表情に戻った。「そんなことないさ。テルヘルさんも、俺たちと同じように何かを探しているんだ。それに、大穴を見つけるチャンスだってあるかもしれないぞ！」
イシェはラーンの言葉に反論しようとしたが、その時、後ろから冷たい声が聞こえた。「二人とも、準備はいいか？」テルヘルが、影のように近づいてきた。彼女の鋭い目は、洞窟の奥へと向けられていた。「あの遺物には、ヴォルダンを滅ぼす力があると信じている」
イシェはテルヘルの言葉に背筋がぞっとした。彼女には、下々の者たちを操るように利用する冷酷な一面もあった。しかし、ラーンは彼女の言葉を聞き、目を輝かせていた。「そうか、ヴォルダンを滅ぼせる力か…」
イシェはラーンの表情を見て、何かが amissだと感じた。彼らに何が起きているのか、まだ何も知らないようだった。イシェは、深く息を吸い、二人の後ろを歩こうとした。
洞窟の中は、薄暗くて湿り気があり、不気味な音が響いていた。イシェは背筋を伸ばし、周囲を見回した。壁には奇妙な模様が刻まれていて、床には謎の文字が書かれていた。下々たちが恐れる遺跡の奥深くへと続く道だった。