「よし、今回はあの崩れた塔だ」ラーンが地図を広げ、指で示した。イシェは眉間に皺を寄せた。「また危険な場所か。あの塔は以前にも collapse したって話があったぞ。何か貴重な遺物でも見つかるのか?」
「そりゃあ、大穴を見つけるまでは何もわからないだろう!」ラーンは豪快に笑った。「それに、テルヘルが言ってたな。あの塔には、ヴォルダンが上納する前に隠した品があるらしいって。」
イシェはため息をついた。「またテルヘルの話か…」。彼女はテルヘルの目的にはいつも疑心暗鬼だった。ヴォルダンへの復讐を誓うという彼女の言葉を信じているわけではないし、そのために手段を選ばない冷酷な一面にも嫌悪感を覚える。だが、今の彼女たちにとって、テルヘルが提供する情報と報酬は欠かせないものだった。
「よし、準備はいいか?」ラーンの声が響いた。イシェは小さく頷き、三人は崩れた塔へと向かった。塔の内部は暗く、埃っぽい空気が立ち込めていて、朽ちかけた石柱からは不気味な音が聞こえてくる。ラーンは先頭を歩き、剣を構えながら進んだ。イシェは後方から彼を見守り、細心の注意を払って足元を確認した。
塔の中ほどまで進むと、壁に奇妙な模様が刻まれていた。それはまるで古代の文字のようだが、イシェには意味が分からなかった。「ラーン、これって…」
「何だ、何か見つけたのか?」ラーンが振り返ると、イシェが指さす壁の模様を見て、顔色が変わった。「これは…!」
彼はその場で言葉を失い、イシェに詰め寄るように言った。「これはヴォルダンが上納する前に隠した品を示す地図じゃないか?あの塔には…」
「何か特別なものが隠されているってこと?」イシェは興奮を抑えきれず、目を輝かせた。ラーンの表情は真剣になり、彼はゆっくりと頷いた。
「そうだ…そして、その品こそが、テルヘルが欲しがるものだ。」