ラーンの豪快な笑い声がビレーの朝霧を切り裂いた。イシェは苦笑いを浮かべながら、彼の背後から小さな荷物を抱えてついて行った。今日も遺跡だ。ラーンが言うには「今回は違う、絶対に大穴が見つかる」らしい。いつもそうだが、イシェはそんな楽観的な言葉を聞き飽きていた。
「本当に大穴があると思うのか?」とイシェが問いかけると、ラーンは自信ありげに頷く。「今回は違うって!だってテルヘルが言うんだろ?」
テルヘルはヴォルダンへの復讐を誓う謎の女性だ。彼女が遺跡探索に同行して欲しいと言ってきた時、イシェは警戒した。だがラーンの「一緒なら大丈夫」という言葉と、テルヘルの鋭い眼光に何かを感じ、渋々承諾したのだ。
遺跡の入り口で、テルヘルは地図を広げ、複雑な地形を指さす。「ここを突破すれば、奥にある大部屋へたどり着けるはずだ」彼女の言葉は冷静で、どこか機械的だった。イシェはラーンの無計画さにうんざりしながらも、テルヘルの指示に従うしかなかった。
大部屋にたどり着くと、そこには巨大な石碑がそびえ立っていた。ラーンが興奮気味に石碑に触れると、突然光が放たれ、部屋中に広がった。イシェは目を細めて光を見つめると、そこに奇妙な模様が見えてきた。
「これは...!」テルヘルは息をのんだ。「古代の呪文だ。ここに書かれているのは...」
その時、石碑から不気味な音が響き渡り始めた。ラーンは剣を抜き、イシェも daggersを構えた。影が壁に映り、何かが動き出す。三人は肩を並べて立ち向かう準備をした。
「一緒だ!」ラーンの声は力強く、イシェの心臓を鼓舞した。彼らは一体何が待ち受けているのか、まだ何も知らなかった。しかし、この瞬間、三人は「一緒」という強固な絆で結ばれていた。