「よし、行こう!」ラーンが豪快に笑うと、イシェはため息をついた。いつものように、ラーンの計画は曖昧だ。遺跡の地図を広げるテルヘルは鋭い目つきで二人を見据えた。「今回は慎重に進もう。あの遺跡はヴォルダン軍が調査していたという噂がある」
ビレーから少し離れた場所にそびえる遺跡は、かつて栄華を極めた一族の遺産だと伝えられていた。しかし、その一族の末裔はどこへ消えてしまったのか、誰も知らない。
「大穴だ!」ラーンの叫び声が響き渡った。彼は興奮気味に石碑の前に立ち尽くしている。イシェが駆け寄ると、石碑には複雑な文字で何かが記されていた。「これは…?」彼女は眉間に皺を寄せた。テルヘルは冷静に石碑を観察し、「古代の言語だ。どうやら一族の墓所を示すものらしい」と呟いた。
その時、崩れかけた天井から塵埃と共に影が落ちてきた。巨大な剣を持ったヴォルダン兵士たちが姿を現した。「邪魔者は排除だ!」彼らの冷酷な声が響き渡る。ラーンは剣を抜き、イシェも daggers を手に取った。テルヘルは冷静に状況を見極めていた。
「お前たちには用はない」テルヘルが切り出した。「我々の目的は一族の墓所だ。ヴォルダンに協力する者として、ここには立ち入れない」
ヴォルダン兵士たちは互いに顔を見合わせた。リーダー格の兵士はテルヘルの言葉に驚きを隠せなかった。「何だと?お前たちが一族の末裔か?」彼は疑いの目を向けた。
「そうではない」テルヘルは静かに言った。「だが、我々は一族の復讐を果たすため、その墓所を探しているのだ」
ヴォルダン兵士たちは一瞬戸惑ったが、すぐに剣を構えた。「何言っているんだ!一族の墓所など、我々が探すものだ!」リーダー格の兵士は怒声を上げた。激しい戦いが始まった。ラーンとイシェは奮戦するが、ヴォルダン兵士たちは訓練された兵士たちだ。テルヘルは冷静に状況を分析し、隙を突いて敵を倒していく。
その時、イシェは石碑に刻まれた文字に何かを感じ取った。彼女は急いで石碑を触れ、古代の言語を解読しようとした。「これ…これは!」イシェの声が震えた。「この石碑は一族の墓所を示すだけでなく…一族の力…その力を呼び覚ます鍵でもある!」
ラーンの攻撃が敵兵士に届き、ついに彼らを撃退することに成功した。だが、彼らの戦いはまだ始まったばかりだった。
「イシェ、お前は何を?」ラーンがイシェに問いかける。イシェは石碑を見つめながら言った。「一族の力…我々がそれを手に入れる時、真の戦いが始まる…」