「よし、今回はあの崩れた塔だ。噂によると、そこには古代の王家の墓があるらしいぞ!」ラーンが目を輝かせながら地図を広げた。イシェは眉間に皺を寄せた。「また、そんな話か。過去の遺跡調査報告では何も見つかってないじゃないか」
「いや、今回は違うんだ!あの塔にまつわる伝説を聞いたことがあるんだ。王家の墓を守る精霊が、強力な遺物をコレクションしているって!」ラーンの熱意は、イシェの理性をも揺さぶるものがあった。「それに、テルヘルさんも興味を示してるんだぞ。報酬もかなりいいらしい」
テルヘルは影のように静かに彼らを背後から見つめていた。彼女の目は冷たく、目的を達成するためには手段を選ばないといった意志を感じさせた。「王家のコレクション…。興味深い話だ。もし、その噂が本当ならば、ヴォルダンにも価値ある情報になるだろう」
イシェはため息をついた。「わかった、今回はついていくよ。でも、また無駄な時間を過ごしてたら、本当に大穴を掘り当てられる日が来るのだろうか…」
ビレーを出発し、崩れた塔へと向かう3人。ラーンの軽快な足取りと、イシェの慎重な一歩一歩が、彼らの異なる運命を象徴していたようだった。塔にたどり着くと、荒れ果てた内部に、何とも言えない不気味さが漂っていた。
「ここからは気をつけろ。何かが起こるかもしれない」テルヘルは警告した。ラーンの興奮とイシェの警戒心、そしてテルヘルの冷酷な冷静さ。3人の想いが交錯する中、彼らは塔の奥深くへと進んでいく。