ラーンが巨大な石の扉を押し開けると、埃っぽい空気が充満した広間が現れた。イシェは鼻をつまんで「またここか…」とため息をつきながら、懐中電灯の光で周囲を照らした。壁には奇妙な模様が刻まれており、床には朽ちた宝箱が転がっていた。
「おや、これはいいものが見つかりそうですね」テルヘルがにやりと笑って言った。彼女は宝箱を足で蹴飛ばし、中を確認する。しかし、そこには錆びついた剣と、価値のない石ころが入っているだけだった。イシェは眉間にしわを寄せ、「またしても…」と呟いた。
ラーンは肩をすくめて「ま、いいか。今日はもう日が暮れるから、引き返そうぜ」と言った。イシェも頷き、テルヘルも渋々同意した。彼らは遺跡を出ようとしたその時、壁の一角に何か光るものがあることに気づいた。
「あれは…!」イシェが近づいて確認すると、そこには小さな金色のプレートが埋め込まれていた。プレートには複雑な文字が刻まれており、イシェは「これは…」と声にならないほど驚いた。
「何だ、それ?」ラーンが近づいてきて、イシェの肩越しにプレートを覗き込んだ。テルヘルも興味深そうに近づいてくる。
「これは…古代語だ」イシェは震える声で言った。「この遺跡の真の目的…そして、ヴォルダンとのつながりを示すものかもしれない…」
三人は互いに顔を見合わせ、緊張した空気が漂う中、プレートに刻まれた文字を解読しようと決意する。