「おい、イシェ、今日は何探すんだ？」ラーンが寝起きの顔で問いかけると、イシェは小さな巻物を広げながら言った。「今回は古代ヴォルダン文字の解読を試みるらしい。テルヘルが持ち込んだものだ。遺跡の奥深くに何かあるらしいぞ。危険度も高いってな。」イシェの言葉にラーンは一瞬驚いてから、「へっ、古代ヴォルダン文字か！じゃあ大穴発見への手がかりになるかもな！」と目を輝かせた。「よし、準備して行くぞ！」
イシェはため息をつきながら「いつも通りだな」と呟いた。
ビレーの遺跡探索隊は、今日も危険に満ちた遺跡へと足を踏み入れた。テルヘルが用意した地図を頼りに、彼らは深い闇の中を進んでいく。ラーンの豪快な剣さばきは相変わらずで、イシェは彼の後ろから慎重に罠を探し出す。テルヘルは常に冷静沈着に状況を把握し、必要に応じて指示を出す。
しかし、遺跡の奥深くに進むにつれて、不気味な空気が流れ始めた。壁には不可解な呪文が刻まれ、床には血のような染みが広がっている。イシェは不安を感じながら、ラーンに「何か変だぞ」とささやいた。ラーンの顔色は青ざめていた。「確かに…何かおかしい」。
その時、突然、天井から巨大な石柱が落下してきた！ラーンはイシェを押し出してかわしたものの、石柱はテルヘルの足元に直撃した。
「テルヘル！」ラーンは叫びながら駆け寄る。しかし、テルヘルはすでに意識を失っていた。彼女の顔には血がにじんでいた。
イシェは慌ててテルヘルを支えながら言った。「すぐにビレーに戻ろう！彼女を助けなければならない！」
ラーンの顔は怒りで歪んでいた。「誰だ…こんなことをした奴は！」彼は剣を握りしめ、闇の中に飛び込んだ。イシェは彼を追いかけようとしたが、足元には崩れ落ちた石柱が転がっていた。彼女は振り返り、意識を失ったテルヘルを抱きしめながら、震える声で言った。「どうか…助かって…」