ラーンの粗雑な斧が石壁を叩き割る音だけが、湿った空気を満たしていた。イシェは眉間に皺を寄せながら、崩れかけた天井を見上げていた。「本当にここなのか? AGAIN この遺跡の地図なんて怪しいんじゃないか。」
「おいおい、イシェ、そんなに疑り深いのは良くないぞ!ほら、テルヘルが言うんだろ? この遺跡には古代文明が残っているって」ラーンは豪快に笑って言った。彼の瞳は期待感で輝いていた。
テルヘルは冷静に地図を広げ、指を動かした。「このシンボル… これは間違いなく、古代ヴォルダン帝国の紋章だ。ここには何か重要なものがあるはずだ。」
イシェはため息をついた。テルヘルの言う通り、この遺跡はヴォルダン帝国のものらしい。だが、彼女はなぜこんな危険な場所に来たのか。ヴォルダンへの復讐のためだと聞かされたが、イシェにはその理由がよく分からなかった。
「よし、ここだ!」ラーンの声が響き渡った。石壁に刻まれた紋章が、かすかに光を放っている。「わくわくするぞ!大穴が見つかるかもな!」
イシェは内心不安になったが、ラーンの興奮に押されて一緒に奥へと進んでいった。すると、通路の奥で何か光るものが見えた。「何だあれ?」
「宝箱だ!」ラーンは目を輝かせながら駆け寄った。宝箱には金貨や宝石がぎっしり詰まっている。ラーンの顔は喜びで真っ赤になった。
だが、その瞬間、床が崩れ始めた!イシェはバランスを崩し、暗闇に落ちていくのを感じた。
「イシェ!」ラーンの叫び声が遠くで響いていた。そして、イシェは冷たい石畳の上で意識を失った。