ラーンが石ころを蹴飛ばすように遺跡の入り口へ足を踏み入れると、イシェがため息をついた。「また、あの口ぶりか」
「ほら、イシェ。今回はきっと何か見つかるよ!この遺跡、なんか違う感じがしないか?めぐり合わせってやつさ!」
ラーンはそう言いながら、剣を構えた。イシェは彼の背後から、小さく頷く。いつも通りの光景だった。彼らは、ビレーの端で暮らす遺跡探索者だ。
「いいでしょう、ラーン。今回は私が計画を立てます」テルヘルが冷静に言った。「この遺跡は特殊な構造をしているようです。過去の記録によると、中心部には強力な魔物が封印されている可能性があります。我々は慎重に進まなければなりません」
ラーンの顔色が曇る。「またかよ!いつもイシェが計画だなんて…」
「今回は違うんだぞ、ラーン。今回はテルヘルさんの言う通りだ」イシェは静かに言った。
テルヘルの目は鋭く輝いていた。「この遺跡の奥深くに眠るものは、単なる遺物ではありません。ヴォルダンとの戦いに役立つ強力な力を持っているはずです。それを手に入れるため、我々は力を合わせて進む必要があります」
ラーンの瞳に闘志が燃え上がる。イシェもまた、テルヘルの言葉に心を動かされた。彼らはそれぞれの理由でこの遺跡に挑んでいた。そして、このめぐり合わせが彼らを未来へと導くのだと信じていた。
石畳を踏みしめる足音だけが響き渡る静かな遺跡の内部。彼らの前に広がるのは、未知なる世界だった。