ラーンの鼻がムズムズと痒くなった。遺跡の奥深くへと続く通路は湿気が多く、埃っぽい空気が充満していた。イシェが小さくため息をつきながら、懐中電灯の光を ahead に向け続ける。テルヘルは背後から二人を見下ろすように歩み、時折地図を広げて確認している。
「ここだな」
テルヘルの声が響き渡ると、ラーンは思わずむずむずとした感覚を振り払うように首を振った。目の前に広がるのは、崩れかけた石の祭壇だった。その中央には、奇妙な模様が刻まれた金属製の箱が置かれている。
「これは…！」
イシェは箱に近づき、慎重に蓋を開けようと手を伸ばした。しかし、その時、床から不気味な音が響き、祭壇全体が震え始めた。ラーンの心はむずむずとした不安感でいっぱいになった。
「何かがおかしい…」
テルヘルが眉をひそめながら、剣を構えた。すると、箱の中から黒い煙が噴出し、ゆっくりと形を変えながら立ち上ってくる。その煙は、まるで生き物のように蠢き、二人に向かって迫ってきた。
ラーンの手も冷たくなるほどのむずむず感。戦いを避けたい気持ちと、仲間を守るという本能的な衝動が入り混じる。彼は剣を抜く前に、イシェの目をじっと見つめた。イシェは小さく頷き、テルヘルと共に煙に立ち向かっていった。
ラーンは深呼吸をして、自分の剣を構えた。むずむずとした感覚は、戦いの緊張感に変わりつつあった。