「おい、イシェ、今日はこの遺跡だけでいいんじゃないのか? 早く大穴が見つかりゃいいのに・・・」ラーンが地面を蹴りながら言った。
イシェはため息をついた。「また、そんなこと言って。あのヴォルダンに奪われたものは一体何だったのかしらね。いつもぼやいてばかりで、目標も定まらないなんて・・・」
「いや、違うんだって!いつか必ず大穴を見つけるって決めたんだろ? だから、今日はこの遺跡を徹底的に調べてみるんだ!」ラーンの言葉は力強く、しかし、どこか空虚に響いた。イシェは彼を哀れなほどに見つめた。
テルヘルは、二人が言い争う様子を静かに見ていた。「準備はいいか?」彼女は鋭い目で二人を見据えた。「この遺跡には危険がいっぱいだ。特に、地下深くには強力な魔物が封印されているらしい。気を抜くな。」
ラーンの顔色が変わった。「魔物って・・・? 本当に?」彼は少しだけ怯える様子を見せた。イシェは彼を睨んだ。「またぼやいてるの? 今回は本当に危険かもしれないわよ!」
テルヘルは微笑んだ。「大丈夫だ、私が保護してくれる。さあ、進もう。」彼女は遺跡の入り口に向かって歩き始めた。ラーンとイシェは互いに顔を見合わせた後、渋々テルヘルの後に続いた。