ラーンの豪快な笑い声がビレーの朝を告げた。イシェは苦笑しながら、テーブルの上のパンを分け合う。今日も遺跡探索だ。ラーンはいつも通り、大穴を掘り当てると豪語し、イシェはいつものように現実的な制止を試みる。「今回は本当に大物が出る気がするんだって!ほら、テルヘルも言ってたじゃないか。」ラーンの目は輝いていた。「あの遺跡は危険だって聞いたんだけど…」イシェの言葉はラーンの興奮に飲み込まれてしまった。
テルヘルは今日も冷静な表情で地図を広げていた。「ここは以前調査した地点だ。今回は奥へ進む必要があるだろう。」彼女は鋭い眼差しで三人を見据えた。「だが、注意が必要だ。ヴォルダン軍が遺跡周辺を監視しているという噂がある。」
「そんなことより、宝だ!宝だ!」ラーンの脳裏には金貨の山が浮かんでいた。「イシェも、今回はきっと大穴が見つかるぞ!」イシェはため息をつきながらも、小さく頷いた。
遺跡の入り口は暗く湿っていた。ラーンは懐中電灯の光を当てながら、慎重に進む。イシェは後ろから彼を見守り、テルヘルは地図を頼りに道を進んでいた。
深い洞窟を進んでいくと、そこは広大な地下空間だった。天井からは鍾乳石がぶら下がり、幻想的な光を放っていた。ラーンの目は輝き、イシェも思わず息をのんだ。
「ここだ…」テルヘルが静かに言った。彼女は壁に刻まれた古びた文字を指さした。「ここに何かあるはずだ。」
三人は協力して、壁の石板を慎重に動かしていく。すると、そこには小さな箱が現れた。ラーンが興奮気味に開けると、中には古い日記と一枚の地図が入っていた。「これは…」イシェは目を丸くした。日記には、かつてこの遺跡に住んでいた人々の記録が記されていた。そして地図は、さらに奥深くにある、伝説の大穴の位置を示していた。
「よし!これで大穴が見つかるぞ!」ラーンの声は洞窟にこだました。イシェは、少しだけ彼の興奮に心を動かされた。テルヘルは冷静な表情のまま、地図を丁寧にしまう。「まだ先は長い。気を引き締めていこう。」彼女は言った。三人は再び、希望に満ちた顔で遺跡の奥へと進んでいった。