ラーンがいつものように遺跡の入り口に立ち尽くしていた。イシェは彼の手を引っ張った。「もういい加減にしろよ。いつも同じだぞ」。ラーンの顔には、いつもの自信に満ちた笑顔があった。「今回は違うって！俺、なんかひらめいたんだ！」イシェはため息をついた。「またか…」と呟きながら、それでもラーンの後ろについて遺跡の中へと入った。
テルヘルは二人が遺跡に入る様子をじっと見ていた。彼女はいつも通り冷静だった。だが、内心ではラーンの行動に少しだけ興味を持っていた。彼の無計画さは時に危険をもたらすものの、その裏には予測不能なひらめきが潜んでいるように感じたのだ。
遺跡の奥深く、壁一面に謎の記号が刻まれた部屋で、ラーンは立ち止まった。「これだ！」と彼は叫んだ。イシェが眉をひそめた。「また何か見つけたのか？」ラーンの指が記号の一つを指さしていた。「この記号…俺、見たことあるぞ！昔、ビレーの酒場で聞いた話に…」
ラーンは興奮気味に話を始めた。それは、古い伝説の話だった。その記号が示す場所には、かつて偉大な魔法使いが遺した宝が眠っているという話だ。イシェは半信半疑だったが、ラーンの熱意に押されるように、その記号を解読しようと試みた。
その時、テルヘルが口を開いた。「待て」。彼女は冷静な目で壁の記号を見つめていた。「この記号は単なる模様ではない。何か別の意味を持っているはずだ」そして、彼女の鋭い観察眼は、壁の一部分に光る小さな石を発見した。「これは…！」彼女は興奮を抑えきれずに言った。「これは古代ヴォルダン文字だ！」
ラーンのひらめきとテルヘルの知識が組み合わさり、遺跡の謎が少しずつ明らかになっていく。彼らは、かつてヴォルダンが隠していた秘密兵器の設計図を手に入れることになる。それは、ヴォルダンへの復讐を果たすための鍵となるかもしれない。