ラーンが巨大な石の扉を蹴り飛ばすと、埃っぽい空気が充満した内部へと続く階段が現れた。イシェは鼻をつまんで「またまた、埃だらけか…」と呟きながら、懐中電灯を点けて慎重に下り始めた。
「よし、今回は大穴だ！きっと！」ラーンの元気な声が響く。彼はいつもより興奮気味で、少し落ち着かない様子だった。イシェは彼の背後に続くテルヘルに視線を向けると、彼女はいつものように無表情だった。
階段の途中に設けられた小さな部屋には、石棺が安置されていた。イシェは慎重に棺を開けて中を覗き込んだ。「骨だけだ。」と呟くと、ラーンは肩を落とした。「またかよ…」
テルヘルは棺の傍らに落ちている小さな箱を見つけた。「これは…？」と彼女は箱を手に取り、蓋を開けると、中には古い地図が一枚入っていた。地図には複雑な記号が書き込まれており、イシェは一瞬戸惑った。「これ、遺跡の場所を示す地図じゃないか？！」
ラーンの目が輝いた。「ついに大穴が見つかるのか！？」彼は興奮を抑えきれない様子で、地図を奪い取り、熱心に眺めた。
テルヘルは冷静に地図を分析し始めた。地図には、彼らの現在地から遠く離れた場所に記された場所が示されていた。「ここなら、ヴォルダンとの国境に近い…。」彼女は呟いた。
イシェは地図を覗き込みながら、「あの辺りは危険な地域で有名だぞ。遺跡の探索よりも先に命が危ないんじゃないか？」と不安そうに言った。ラーンは「そんなこと言ってたら大穴に辿り着けないぞ！」と意気揚々と答えた。
テルヘルは彼らをじっと見つめた。「よし、休憩を取ろう。」彼女はそう言い、近くの岩盤に座り込んだ。イシェもそれに従い、ラーンの顔色を伺った。彼は少し疲れを見せているようだった。
「さて…」テルヘルは地図を広げ、指で場所を示した。「次の目的地に向かう前に、この遺跡の周囲を詳しく調査しよう。何か手がかりがあるかもしれない。」
イシェはため息をつきながら、「また長引くのか…」と呟いた。ラーンは目を輝かせながら、「よし、行くぞ！」と立ち上がった。イシェは彼らを後ろから見守った。彼らの背中は、希望に満ち溢れているようにも、どこか不安げなようにも見えた。