ビレーの酒場「三叉路」で、ラーンが豪快に笑っていた。「今日の遺跡は手応えがあったな!イシェ、あの石板は何だったんだ?」
イシェは眉間にしわを寄せていた。「まだ解読できてない。古い文字で、複雑な内容みたいだ。」
ラーンの肩を叩いてテルヘルが入ってきた。「二人とも、今日はいい仕事したね。情報提供の報酬として、少し多めに払うよ」
「おお!ありがとう、テルヘル!」ラーンは嬉しそうに拳を握りしめた。イシェはテルヘルの視線を感じて不快感を覚えた。テルヘルはいつも何かを企んでいるように見えた。
「さて、次の遺跡についてだが…」テルヘルが口を開こうとしたその時、ラーンの視線がテーブルの隅にある小さな箱に止まった。「あれは何だ?」
テルヘルが慌てて箱を隠そうとした。「あ、なんでもないんだ。ただの trinket(小物の意味)だよ」
イシェはラーンの視線とテルヘルの動揺を感じた。「ちょっと待てよ、テルヘル。何をしているんだ?」
「これは秘密の作戦に関連する物だから…」テルヘルは言葉を選びながら言った。
ラーンは立ち上がって箱を奪い取った。「秘密作戦?俺たちが遺跡を探してるのは、ヴォルダンと戦うためじゃないか!一体何を隠しているんだ?」
イシェはラーンの行動に驚きながらも、テルヘルの態度から何かがおかしいと感じていた。「テルヘル、正直に話した方がいいよ」
テルヘルは深くため息をついた。「いいでしょう。実は…」彼女は真実を語り始めた。それはヴォルダンとの戦いに必要な鍵となる遺跡の場所と、ラーンたちを利用する計画だった。
ラーンの顔色は青ざめた。イシェは驚きと怒りで言葉を失った。彼らはテルヘルの言葉にだまされていたのだ。