「よし、今日はあの迷宮跡にでも入ってみるか?」ラーンの声が響き渡る。イシェは眉間に皺を寄せながら彼を見つめた。「またそんな無計画な話?あの迷宮は危険だって聞いたことがあるわよ。地図もないのに、一体どうやって進むつもりなの?」 ラーンはイシェの言葉に耳を貸すことなく、興奮気味に言った。「大丈夫だ!俺にはカンが働くんだ!きっと何か面白いものが見つかるはずさ!」
イシェはため息をつきながら、背後からテルヘルの方を見た。彼女は静かに、そして鋭い目で二人を見据えていた。「私はこの遺跡の調査記録を手に入れました。危険な場所だと記されています。特に地下深くには、強力な魔物が棲んでいるという噂もあります。」
ラーンの顔色が少し曇った。「魔物か…でも、大丈夫だ!俺たちにはイシェがいるじゃないか!彼女はどんな魔物にも立ち向かう勇気があるって!」 イシェは顔を真っ赤にしてラーンの言葉を遮った。「そんな、そんなわけないでしょ!私は戦いの心得なんてないのよ…」
テルヘルが口を開いた。「私はあなたたちに報酬を払っています。危険と引き換えに、成果を求めます。」彼女の言葉に、ラーンとイシェは互いに顔を見合わせた。
「よし、わかった!」ラーンは力強く言った。「俺たちはどんな魔物にも立ち向かう!必ず大穴を見つけ出して、お前たちに見せつけるからな!」 イシェはため息をつきながら、小さく頷いた。「わかったわ…でも、何かあったらすぐに逃げ出すからね。」