ラーンが巨大な石の扉を勢いよく押し開けた時、埃っぽい空気が彼らを包んだ。イシェは咳き込みながら、「またこんな薄暗い遺跡か…」と呟いた。ラーンの後ろ姿は、いつもより少しだけ小さく見えた。
「よし、行こうぜ!」
ラーンはそう言って、懐中電灯の光を ahead に向け、迷路のような通路に足を踏み入れた。イシェはため息をつきながら、テルヘルの後をついて行った。テルヘルは先を急ぐ様子もなく、足取り軽く通路を歩いていた。彼女の背中には、いつもよりも重たい影が落とされているようだった。
「あの扉、本当に開くと思わなかった…」
イシェが呟くと、テルヘルは振り返り、鋭い目をイシェに向けた。
「なぜ、開かないと思ったのですか?」
「えっと…あの、こんな古い遺跡で、こんな大きな扉が…」
イシェの言葉は途絶えた。テルヘルは静かに頷き、再び前を向いた。
「この遺跡には、何か隠されているはずです」と彼女は言った。「そして、それが我々の目標です」
ラーンの剣が石壁にぶつかり、火花を散らした。イシェは彼の手を引っ張った。「ラーン、ちょっと待てよ。落ち着いて…」
ラーンの顔は興奮で赤く染まっていた。「何かいる!何かがいるぞ!」
イシェはラーンの背後から彼の手首をつかんで引っ張った。「落ち着きなさい!何もいない」
その時、石壁からかすかな光が漏れてきた。イシェとラーンは同時に息を呑んだ。それは、まるで宝石のように輝く青白い光だった。
「あれは…」
ラーンの声は震えていた。イシェは彼の視線に従って光を見た。その光は、まるで生きているように脈打っていた。そして、その光が放つ輝きは、彼らを包み込むように広がっていった。
「これは…!」
テルヘルは小さく呟いた。「ついに…」