日差しが容赦なく照りつけるビレーの市場。ラーンはイシェにからかうように声をかけた。「おい、イシェ。今日はどんな遺跡に行くんだい?もしかしてまたあの、謎の石の塔?」
イシェは眉間にしわを寄せた。「またそんなことを言ってるのか?あの塔は危険だって言っただろう!それに、テルヘルが指定した遺跡には行くしかないじゃないか。」
「そうだな。でもなぁ、テルヘルが言うような大金持ちになる方法ってのも、やっぱり謎だぞ。あの女、一体何を目指してるんだ?」
イシェはため息をついた。「そんなこと考えても仕方がないわよ。とにかく、今日の仕事が終わったら、美味しいものを食べよう。」
「そうだな!ビレーの市場で食べる肉まんは最高だな!」ラーンの目は輝き始めた。
二人はテルヘルに指定された遺跡へ向かう途中だった。そこにはかつて栄えた文明の残骸が眠っていた。それは、彼らにとって日々の糧となる遺跡であり、同時に危険な罠も潜んでいる場所だった。
テルヘルは遺跡の入り口で待っていた。「今日は特に注意が必要だ。この遺跡はヴォルダン軍に占拠されたことがあり、罠が仕掛けられている可能性がある。」
ラーンの顔色が少し曇った。ヴォルダンとは、彼らにとって脅威であり、常に影のように迫りくる存在だった。イシェはラーンの手を軽く握りしめ、小さく頷いた。
遺跡内部は薄暗く、不気味な静けさの中に、かすかな風が吹き抜ける音が響いていた。彼らは慎重に足取りを運びながら、奥へと進んでいった。壁には古びた文字が刻まれており、イシェはそれを解読しながら進路を探った。
すると、突然床が崩れ始め、ラーンが深みへ転落しそうになった!イシェは咄嗟にラーンの腕をつかみ、必死に引き上げた。「ラーン!大丈夫か?」
ラーンは息を切らしながら立ち上がった。「ああ、助かった…。」彼は顔色が青ざめていた。
テルヘルは冷静な表情で言った。「あの崩れた床は、ヴォルダン軍が仕掛けた罠だ。気を付けて進まなければならない。」
彼らは再び進むことを決意し、遺跡の奥へと進んでいった。そして、ついに彼らは目的の場所に到着した。それは、遺跡の中央にそびえ立つ巨大な石碑だった。
石碑には複雑な模様が刻まれており、テルヘルは目を輝かせた。「これは…!」彼女は興奮を抑えきれない様子で石碑に触れた。すると、石碑から光が放たれ、部屋全体を照らし出した。
「これは…!」ラーンとイシェは息をのんだ。石碑の光の中に、かつて栄えた文明の姿、そしてその滅亡の理由が描かれていた。
テルヘルは石碑に手を当てながら、しみじみと言った。「これで、ヴォルダンへの復讐に一歩近づいた。」