ラーンが大きな息を吸って、洞窟の奥へと踏み込んだ。イシェは後ろから「待て！」と叫んだが、彼の足はすでに止まらない。目の前には広がる巨大な石室。壁面には複雑な模様が刻まれ、中央には光る球体が浮かんでいた。
「これは...！」ラーンの目は輝き、興奮を抑えきれない様子だった。イシェは眉間に皺を寄せながら、球体から発せられる微かな振動を感じ取った。「何か変だ...」
その瞬間、石室の床が崩れ始め、ラーンはバランスを崩して転げ落ちた。イシェは咄嗟に彼の手を掴もうとしたが、間に合わなかった。ラーンの叫び声がこだました後、深い闇に飲み込まれた。
「ラーン！」イシェの声だけが響き渡る。彼は必死に石室の崩落した場所を探したが、見つけることはできなかった。恐怖と絶望がイシェを襲う。その時、背後から冷たい声が聞こえた。「見つけたようだ」
振り返ると、テルヘルが立っていた。彼女は冷静に状況を把握し、「彼を助けるには、この球体を deactivated しなければならない」と言った。イシェは戸惑いながらも、彼女を信じることにした。
テルヘルは複雑な模様を解読し、球体に触れると、その光が消えた。すると、石室の奥からラーンの声が聞こえてきた。「イシェ...！」
イシェは駆け寄り、ラーンを抱きしめた。彼は傷だらけで意識朦朧だったが、生きていた。テルヘルは少し微笑んだ。「よかったね」
しかし、イシェは彼女の言葉に何か冷たいものを感じ取った。まるで、この出来事の裏に何か隠された目的があるかのような...