ビレーの酒場「灼熱の炉」は今日もざわめいていた。ラーンがテーブルを叩くと、粗末な杯に入った酒が揺れた。
「おい、イシェ! また遺跡で見つけた奇妙な石だな。一体何に使うんだ?」
イシェは眉間に皺を寄せながら、石をじっと見つめていた。
「よく分からない。古代の文字のような模様があるけれど... ラーン、本当にこれで大穴が見つかるのか?」
ラーンの笑顔は自信に満ちていた。「大丈夫だ!いつか必ず大きな財宝を掘り当てられる!」
だがイシェの目は揺らぐ。ビレーのざわめきの中に、不安が入り混じるようだった。
その時、扉が開き、テルヘルが入ってきた。彼女は鋭い眼光で二人を見据えた。
「準備はいいか? 次の遺跡はヴォルダンに近い場所だ。危険だが、大きな報酬が待っている」
ラーンは熱く頷いた。イシェは静かに剣を手に取った。二人のざわめきが、運命の歯車をゆっくりと回し始めた。