ビレーの酒場はいつもよりざわついていた。大穴探しで成功した隊が帰ってきたという噂が流れ、酒場に集まる人々の顔は興奮の色を帯びていた。ラーンはイシェに目を細めて言った。「おい、イシェ、あの騒ぎみてえな宝物、俺たちも見つけられるのかな?」イシェは少し離れたテーブルで飲み物を傾けていた男たちの視線を気にしながら、「そんな大それた話、やめなさいよ」と小声で言った。しかし、ラーンの瞳には興奮が宿っていた。「いつか必ず、大穴を見つけるんだ!」ラーンの言葉に、イシェはため息をついた。
その夜、ビレーの周りにはいつもより多くの影がうごめいていた。ヴォルダンのスパイか、それとも別の野心家か。誰なのかはわからないが、ざわざわとした空気に、イシェは不安を感じていた。ラーンはそんな雰囲気に気づくことなく、酒場で大口を叩いている。
翌日、いつものように遺跡へと向かう3人。しかし、今日は何かが違う。いつもとは違う静けさと、不気味なざわめきが遺跡の入り口に漂っていた。「なんか変だな…」イシェは不安げに言った。ラーンは剣を握りしめ、「大丈夫だ、一緒にいればなんとかなる」と強がるが、彼の声にも少し緊張が混じっているのがわかった。
遺跡の中は、いつもより暗く、不気味な静けさに包まれていた。足音がこだますり、ざわめきが聞こえるのはイシェの耳だけなのかもしれない。すると、突然、壁から何かが飛び出してラーンを襲った!ラーンの剣が光り、影のようなものが倒れる音が響く。
「何だ、この…」ラーンは驚愕の表情で倒れた影を見て言葉を失った。それは、人間の形をした影だった。イシェも恐怖で声を上げそうになった。テルヘルが冷静に状況を把握しようと努める。「これは…ヴォルダンか?それとも何か別のものなのか…」彼女の言葉が、ざわめく空気をさらに重くした。