ラーンの豪快な笑い声がビレーの街角にこだました。「おいイシェ、今日は大穴だ!この遺跡には必ず何かあるって気がするんだ!」
イシェは眉間にしわを寄せながら、ラーンの肩を軽く叩いた。「またそんなこと言う? いつも大穴、大穴って騒いでるけど、結局ただの瓦礫ばかり見つけてるんじゃないのか」
「違うよ、今回は違う!ほら、あの光!」
ラーンが指さす方向には、遺跡の奥深くから薄っすらと青白い光が漏れていた。イシェは少しだけ興味を覚えた。「確かに…今まで見たことのない光だな。でも、油断はできない。あの光源が何か、どんな危険があるか分からない」
「大丈夫だ!俺がいるだろ?」ラーンは自信満々に笑った。イシェは彼の無茶な行動にいつも辟易していたが、同時に頼りない彼を放っておけない自分がいた。
遺跡の中を進んでいくにつれ、空気は重くなり、不気味な静寂に包まれた。イシェは背筋がぞっとするような感覚に襲われた。ラーンの軽率な行動を責めたい衝動を抑えながらも、彼の後ろを歩いた。
「あの光、近いぞ!」
ラーンは興奮した様子で駆け出していった。イシェは彼を追いかけるように進んでいくと、巨大な石の扉の前に辿り着いた。扉には複雑な紋様があしらわれ、その中心に青白い光が脈打っていた。
「これは…何かすごいものが見つかるかもしれない」ラーンの目は輝いていた。イシェは彼の熱意に少しだけ心を動かされた。しかし、同時に不安も募った。「本当に大丈夫か…」
その時、扉の紋様が突然輝きを増し、激しい光を放ち始めた。ラーンは目を細めながら光を見つめていたが、イシェは直感的に危険を感じた。そして、その直感通りだった。
扉から轟音が響き渡り、激しい衝撃波が二人に襲いかかってきた。ラーンの体は吹き飛ばされ、壁に激突した。イシェもバランスを崩し、地面に倒れ込んだ。
「ラーン!」イシェは慌てて立ち上がり、ラーンの元に駆け寄った。彼は意識を失い、血を流していた。イシェは恐怖と絶望を感じながら、彼の手を握り締め、助けを求めるように叫んだ。