ラーンの大 hineinが響き渡るビレーの酒場に、イシェはため息をついた。またしてもラーンは空騒ぎをして日銭稼ぎに失敗したらしい。テーブルの上には、いつも通り、ぼろぼろの地図と、わずかな銅貨の山が置かれていた。「今日はもう諦めようよ」イシェは疲れたように言った。「明日から新しい遺跡を探そう」
「いやだ！」ラーンの顔色が一変した。「あの遺跡には何かあるって、俺は感じるんだ！」彼はテーブルを叩きつけ、「次は必ずお宝を見つけるぞ！」と叫んだ。イシェはため息をつきながらも、ラーンの熱意に押されてしまった。
翌日、彼らはテルヘルと共に、山奥にある荒廃した寺院へと向かった。テルヘルが持ち出した古い文書によると、この寺院にはかつて、伝説の王が眠るという。その王の墓からは、莫大な財宝が出土すると言われているのだ。
寺院の入り口は崩れ落ち、内部は暗く湿っていた。足元には朽ち果てた石碑が転がり、壁には奇妙な文様が刻まれていた。イシェは慎重に足取りを運びながら、周囲を警戒していた。ラーンは興奮気味に、石碑に刻まれた文字を指さした。「これは何だ？」
テルヘルは地図を広げながら言った。「これは古代の呪文だ。この寺院には強力な魔物が棲んでいるらしい」イシェは背筋が寒くなった。ラーンの無謀さに呆れながらも、彼を止めようとはしなかった。なぜなら、イシェ自身も、この遺跡から何かを得たいという欲求に駆られてしまっていたからだ。
奥深くまで進むにつれて、寺院の空気は重くなっていった。壁には血痕のようなものが残っており、不気味な音が聞こえてくるようになった。ラーンの顔色も少しずつ青ざめていく。
ついに彼らは、寺院最奥部にたどり着いた。そこは広大な祭壇があり、その中央には黄金でできた棺が置かれていた。棺の上には、輝く宝石が埋め込まれた王冠が置かれている。まさに伝説の王の墓だった。
ラーンは興奮し、棺に手を伸ばそうとしたその時、床から黒い影が立ち上がり、彼を襲った。それは巨大な魔物で、鋭い牙と爪を持ち、赤い目でラーンを見下ろしていた。
イシェは驚いて後ずさった。ラーンの命を奪う魔物と、見事な宝の山。どちらを取るか。一瞬の判断を迫られたイシェは、迷わず剣を抜き、魔物に立ち向かった。