ビレーの薄暗い酒場で、ラーンが豪快に笑っていた。イシェは眉間に皺を寄せながら、彼の肩を叩いた。「また大穴の話か?あの遺跡は危険だって言っただろう」。
「大丈夫だ、イシェ。今回は違う気がするんだ!」ラーンは目を輝かせた。「テルヘルが言うには、あの遺跡の奥に眠ってる遺物は、ただの金品じゃないらしいぞ。何かえげつない力を持つものなんだって」
イシェはため息をついた。「そんな噂を信じるなんて…」と呟きながらも、ラーンの興奮した様子を見ているうちに、自分も少しだけ期待が膨らんでいくのを感じた。
翌日、三人は遺跡へと足を踏み入れた。埃っぽい通路を進み、崩れかけた石室に到着すると、そこには巨大な棺が安置されていた。テルヘルは慎重に棺を開き始めた。その瞬間、部屋中に不気味な光が溢れ、ひどい臭いが漂ってきた。
「これは…!」テルヘルの顔色が変わった。「これは、ヴォルダンが探していたものだ!」
棺の中から取り出されたのは、黒曜石でできた奇妙な石像だった。石像には、えげつないほどに歪んだ顔が彫られており、その目はまるで生きているかのように光っていた。ラーンは石像に近づき、興味深そうに手を伸ばした。
「やめろ!」テルヘルが叫んだ。「触るんじゃない!あれに触れたら…」
しかし、遅かった。ラーンの指先は石像の表面に触れた瞬間、黒い光が彼の体を駆け巡り始めた。ラーンは苦しげな声を上げ、地面に倒れ込んだ。イシェは驚いて駆け寄ったが、ラーンの体はみるみるうちに黒ずんでいき、 grotesquely twisted into an unnatural shape.
「これは…!」イシェは恐怖で言葉を失った。テルヘルは冷静さを保ちながら、石像を再び棺に戻した。「ヴォルダンに渡せば、きっとこのえげつない力を使えるはずだ…」彼女は呟き、ラーンとその姿を見下ろした。