ラーンがいつものように大口を開けて笑う。「今日は絶対何か見つかるぞ!俺の直感が言ってるんだ!」
イシェはため息をつきながら、彼の肩を軽く叩いた。「またそんなこと言って。いつも大穴に変わるのはただの石ころだよ」
「いやいや、今回は違うって!ほら、この遺跡の地図見てみろよ。ここにはまだ誰も入ったことない場所があるらしいんだ!」
ラーンの指が古い地図に示す場所を熱心に辿る。イシェは彼の興奮に少しだけ巻き込まれるように、地図にも目をやった。確かに、そこには記されていなかった場所があった。しかし、それはあくまで地図の端っこに小さく記されたもので、真偽の定かではないだろう。
「でも、あの場所って本当に安全なのか?地図には何も書いてないじゃないか」
イシェの言葉に、ラーンの笑顔は少しだけ曇った。「いやいや、大丈夫だって!きっと何かあるはずだ!」
彼のその言葉を聞いたテルヘルが鋭い目で二人を見下ろした。「安全かどうかは確かめてから判断するべきだろう。無駄なリスクを取るのは避けたい」
「わかったわかった。でも、テルヘルもワクワクしないのか?もしかしたら古代の宝が眠っているかもしれないんだぞ!」
ラーンの興奮を抑えきれず、テルヘルに詰め寄る様子を見て、イシェはため息をついた。「いやいや、本当に宝なんて見つかるわけないよ…」
しかし、イシェの心には僅かな希望が芽生えていた。もしかしたら、本当に何か見つかるかもしれないという希望。それは、彼らがこの遺跡探索を続ける理由だったのかもしれない。